何故、恋なんて面倒なものを、してしまうのか。
鈍感なフリをしている俺は、それを利用して、あの二人から目を離さなかった。
離すな
ユーリとルークに告白して、二人に振られてから、三日が経過した。
だからといって、何かが変わったという事はない。
俺と二人の関係は、『仲間』。
ユーリとルークの関係は『恋人』。
二人の仲を壊さないように、俺は二人から離れた。
そして、皆と距離を置いた。
恋愛なんて面倒なものを、しないように。
…………そう、考えていた、のに。
「俺、セネルが好きだ。恋愛的な意味で」
リッドからの告白に、一瞬、息が出来なくなった。
リッドとは仲が良い方だ。だけど、そんな風に見られていたとは思わなかった。
言葉が出てこない。
恋なんてしないと決めたのだから、断ればいいのに、その言葉が思いつかない。
リッドは、黙っている俺に、
「待ってるからさ」
と笑った。
リッドは俺と一緒にいてくれた。
食事中も、昼寝をする時も、依頼を受ける時も。
その事に、俺は嫌と感じなかった。
リッドは、何も言わずに隣にいてくれた。
そして、気付く。
ユーリとルークの事を考えても、何も思わなくなった事を。
『何も思わなくなった』というのは語弊があるが、前のように恋心を抱く事が、なくなった。
同時に、リッドの事を想うようになった。
まさか、とは思った。嫌、とも思った。
恋愛をする事が怖くて、鈍感なフリをして、ずっと逃げて。
それでも、もう。
あいつの手は離せないと、分かった。
「リッド」
「んー?」
今日もリッドは俺の隣にいる。
俺はリッドの手を握った。
「俺、お前の事、好きかもしれない」
「今言うか? それ」
「言いたくなったから、言ったんだ」
「そっか。俺も好きだ」
手が離せないなら、握ればいい。
拒めないなら、受け入れろ。
君と一緒の未来。
きっと、明日は輝くから。
離すな
(強く、強く、抱きしめろ)
(そして、二度離さないで)
(君と同じ未来を、望む)
「「離すな」」
−−−
らくがき
企画サイト様に捧げます。
結果的にリドセネになりました。予定とはずれてしまいました。すみません。
喜んでいただけたら、幸いです。
ありがとうございます。