※微裏注意
ふと、何で好きになったんだろうと思い返してみる。
元はといえば、俺ってノーマルだったわけだし。胸がこう大きくて、キュッと引き締まったウエストと、スラっとしてしなやかに伸びる脚線美。背は俺よりも小さくて抱きしめたら腕の中に納まるような、そんな身長差がいい。サバサバしてるように見せかけて実は甘えたがり、加えて家庭的だったら尚良し。
彼女にするならと、そんな理想を描いていたはずなのに、どうして男に惹かれたのか。
まぁ何だかんだでディセンダーの依頼でよくつるむ事はあったけど―――、
「…おい」
「ア?」
思考の縁から俺を引き戻した声の主は、俺の真下にいた。汗ばんで額に張り付いた前髪を鬱陶しそうに掃いつつ、俺に向けられる眼差しは怪訝そのもので。
「早く抜け。落ち着かないだろ」
悪態しか吐かないこの口も、緩く律動を与えてやれば愛らしい声で歌う。
普段はふわふわな手触りの白髪も、今この時だけはしっとりと落ち着いて幼さを強調させる。
たった数センチの身長差は上目遣いのロマンを与えちゃくれないが、少し屈めば不意打ちでキスも出来るし、髪に触れたりだとかスキンシップがとりやすくて案外悪くない。
立派な胸もなければ柔らかくもない細っこい体。俺の理想の一つも当てはまらないけど(いや、脚線美は当てはまってんのかも)、これ以上ないくらいに魅力的なのは確か。
あ、そっか。
「セネル。俺、お前の全部が好きみてェ」
「――ッ、そ、そんなの今いう事じゃないだろ…!」
「ンだよ、嬉しいくせに」
その証拠に、今まで以上に俺自身をきつく締め付ける後孔。こっちは素直なのにな、なんて指先で結合部をなぞれば更に喰いつかれた。ゆるゆると惰性で腰を押し付けつつ愛しさとからかいとを含ませ言葉を投げかけるが、当の本人は口を開こうにも意味のなさない母音ばかりが零れていく。
「…ぅ、あ…スパーダ、」
薄膜の貼った海色が求めるように俺を見上げ、すっと頬に伸ばされた掌は熱を帯びていて。
「んっ、…言葉はも…いい、から、…早く―――」
早く。その先の唇の動きに視線は釘付け、早鐘みたく高鳴る鼓動。
「はやく――…、きて」
スローモーションのように感じたその一瞬に、ふわりと、セネルが微笑んだように見えて。
目尻から溢れた一筋の雫がセネルの頬を伝う。それすらも何だか勿体無いような気がして舌でじっとりと丁寧に拭った。
「は、ぁ…スパーダの、また大きくなった…」
「――ッ、お前がエロすぎんの」
雫の軌跡を辿り、そのまま口付ければ濃密な第2ラウンドへの架け橋となる。
恋の初風、吹き止むことはなく
(……、スパーダ)
(はよ。よく眠れたか?)
(おかげさまで。じゃなくて)
(ア…?)
(その、…俺も、全部好きだ)
(っおま、嬉しいこと言ってくれんじゃん…!!)
(ちょ、抱きつくな…!)
***
目指せ甘文…と、頑張ってみたらピンク色になってました。ぬるくてすみませんっ